施工・工事
2020.09.16

店舗の施工を依頼する際の準備、依頼の流れについて

まず店舗が実際にできあがるまでには、さまざまな工程が必要となります。

施工を依頼する際に準備するもの

物件は取得しておくと進行しやすい？

店舗のデザインを設計施工会社、デザイン会社、設計事務所などに依頼します。デザイン会社や設計事務所とは、完成を予想するイメージや図面を作成する専門会社となります。
設計施工会社とは、設計から施工までをトータルで行う会社となります。

もし物件が決まって入れば、話は早く進みますが、スケルトンの現場の場合は出来上がりをイメージするのは難しいでしょう。また出店に必要なインフラ設備が整っているのかどうかの確認も素人には難しいものがあります。
希望の設備を入れたいが、建物的に電気・ガス・水道の容量が満たされていなければ、導入の為のインフラ工事が予想以上にかかってしまう事も考えられます。そもそもインフラの容量アップが物理的にできない可能性もあります。特別な設備が必要な場合には不動産屋さんに早めに伝える事が重要です。設計施工会社に依頼されている場合には、そのあたりも含めて調査してくれるので安心です。

業者に共有するための、物件状態の写真は必要？

依頼する際に、不動産屋さんから頂ける、物件のマイソクはもちろんですが、現場の状態がわかる写真をとっておくと、業者さんもイメージしやすいはずです。建築の図面等、物件の寸法が記入されたものがあると更に伝わり易いですし、慣れた設計者ならその場で簡単なゾーニングプランを作ってくれるかも知れません。
図面や資料が足りない場合は、業者に実際に現場を確認してもらいましょう。

店舗のコンセプトや具体的なイメージがあると違う？

デザイナーや担当営業と打合せを進めていきますが、その時にお好きなイメージやコンセプト、が具体的に決まっていれば、打合せがよりスムーズに進行していきます。

店舗にとって重要なコンセプトとは？そのポイントと作り方を解説

さらに予算も立てておく必要がある？

希望する予算を早めに伝えておく事で、業者も大枠での予算配分を立てながらの計画ができます。計画をスムーズに勧める為にも、事業計画としての予算は早めに伝えておく事をお勧めします。

その後打合せ内容をもとに、デザイナーが完成予想図をスケッチやパースなどで作成していきます。施主との間で店舗デザインの細部を詰め、デザインを完成させていき、設計図面を作成していきます。
デザイン会社と言っても千差万別、得て不得手がある会社もあります。希望している業種に実績のあるデザイン会社をお選びいただくためにも、施工例などをホームページ等でよく調べる必要があります。内容をあまり開示できない業種業態もありますので一概には言えませんが、ベンチマークしている店舗の情報がビジュアルで確認できるのは一つの指針となります。

設計打合せが進み、デザインがまとまりましたら、具体的なレイアウトや仕上げ材、設備機器の打ち合わせとなります。デザインを優先したあまりに使い勝手が悪くなったり、ご希望の予算を大きく超えてしまったりしては意味がありません。
完成したデザインを崩さずに、使い勝手も良く、施主様のご希望を叶えてこそプロの仕事と言えます。選択肢のある提案をしていく事が、設計として重要な要素だと思います。

施工を依頼する際の流れ

依頼する業者を選ぶ

デザインやレイアウトの候補が決まりましたら、施工会社に依頼をします。施工会社とは実際に工事を行う会社になります。デザイン会社や設計会社では直接工事を請け負わないため、施工会社を探す必要があります。デザイン会社や設計会社から紹介を受ける場合もあります。

設計施工会社になりますと、デザインや図面、施工まで一括して請け負うため、窓口を一つに出来るメリットがあります。また、打ち合わせに施工担当も加わり、施工的な観点から意見や改善点などを聞けるメリットも大きな要素となります。デザインやレイアウトが決まったのに、いざ工事となった時に施工会社から、「こんな形は作れない」「図面がおかしい」なんて言われたら元も子もありません。

施工会社と言っても一括りではありません。実際に店舗工事を行う場合、数多くの業種の方々が施工に携わります。大きな括りで言いますと、内装工事・外装工事・各種設備工事・サイン看板工事等いくつもの専門業者が工事に関わります。さらに各工事の中で細かく分類されていきます。
一つ一つをバラバラに依頼することも可能ですが、あまりお勧めは出来ません。ある程度の規模の工事であるならば、数多くの業種が複雑に絡み合い完成を目指します。全てがバラバラですと、まとめる人間がいないため、工事がうまく進みません。

施工業者との打合せ

話は戻りますが、工事には様々な業種、業務が関わりますので、一括でまとめられる会社をお選びいただいた方が、施主様も安心できるかと思います。

設計施工会社であれば、設計から工事までそれぞれの担当者が、密に連携を取りながら工事を進めていけるため、より安心してお任せいただけると思います。窓口会社も一つに絞れるため、変更したい箇所や追加で取り入れたいもの等が出た場合、どこの誰に相談すればいいのかと考えずに済むことも大きなメリットだと思います。

さらに設計施工会社では相談を受けた時から、回答や提案を返す時までの時間も短縮できるため、予定していた全体の工期を守る事にもつながります。デザイン設計会社と同様に、施工会社のホームページを見て調べていただき過去の施工例や実績などを踏まえて選ぶ事が重要です。

提案と見積りを確認する

工事会社（設計、施工）を決める上でもう一つ重要なことがあります。それは施主様が工事にかけられる予算です。予算に限りが無ければ好きな材料を好きなように使えますが、そうはいきません。限られた予算の中で最高の店舗を作るためにも工事会社選びは重要になります。工事会社により工事にかかる金額が違うからです。同じ大きさで同じ材料を使って完成させるならば金額が安いに越したことはないと思うのが一般的な考え方だと思います。
そのために工事依頼をするときに、一社ではなく何社かに見積りを依頼する事をお勧めいたします。

工事の流れや注意事項など最終確認を受け、契約を結ぶ

時には金額が安くても、工期が長く店舗の開店が遅れてしまう場合などもありますので、金額面、工事における信頼度や工事完成後のアフターメンテナンス等の総合的な判断で工事業者を選んでいただきたいと思います。
金額面は数字で表れるので分かりますが、信頼度に関しましては過去の実績や打ち合わせなど、各担当者の人となりや自信度なども参考にしていただければと思います。

長くはなりましたが、設計、施工会社を選んでいく流れをご説明させていただきました。いろいろな状況や条件がある中で選ばなくてはいけない事ですので、思った以上に大変な事だと思います。
お選びいただく中で一番重要な部分は、施主と設計施工会社の気持ちが通じ合い、同じ意識を共有できることが大切だと思います。気持ちが一つになれば、素晴らしい店舗が完成できると思っています。

一つの工事を通して、長く関係を築いていける工事会社と巡り合えますよう、参考にしていただければと思います。